大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(う)153号 判決

被告人 崔昭三

〔抄 録〕

被告人の控訴の趣意第二点及び弁護人の控訴趣意第一点について。

公判調書に記載すべき事項は、刑事訴訟規則第四十四条に規定してあるから、公判廷において行われた訴訟行為その他の事項で右法条に定められている事項以外のものは、これを公判調書に記載することを必要としないし、また公判調書に記載がないからといつて、当該訴訟行為等が公判廷において適法に行われなかつたものと即断することはできない。所論に鑑み記録を精査するに、原審第一回公判調書及び第二回公判調書には、それぞれ別紙証拠関係目録記載のとおり証拠調をした旨の記載あり、右各公判調書添付の証拠関係目録には、第一回公判廷に於ては吉田千代子外四名の司法巡査、司法警察員または検察官に対する供述調書及び前科調書を、第二回公判廷においては青木英外二名の司法巡査、司法警察員または検察官に対する各供述調書、湯本政子の答申書及び被告人の司法警察員及び検察官に対する各供述調書を、いずれも検察官より証拠調の請求をし、これに対し被告人及び弁護人において刑事訴訟法第三百二十六条の同意を与え、原審がその証拠調の決定をしてこれが取調を完了した旨の記載があるが、如何なる方法で証拠調をしたかについてはいずれも何等の記載がない。しかし証拠調の方法は前記刑事訴訟規則第四十四条所定の事項ではないから、公判調書または添付の証拠関係目録にこれの記載がないからとて該調書の記載を違法ということができないばかりでなく、直ちに違法の方法による証拠調がなされたものと断定することはできない。論旨は、原審の証拠書類の取調はすべて違法な方法により行われたものの如く主張するのであるが、記録上原審の証拠調に際し、被告人または弁護人より刑事訴訟法第三百九条第一、二項による異議の申立をした事跡がなく、また原審が所論のような方法で証拠調をしたことを認め得べき何等の資料もない。然らばむしろ他に特段な事情がない限り適法な方法により証拠調を行つたものと推認するを相当とすべく、即ち原審の訴訟手続には何等違法の瑕疵あることを認めることができないから、論旨はいずれも理由ないものである。

(工藤 渡辺好 久永)

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